卵絵
卵絵とは卵「鶏、鴨、ガチョウ、蛇、ハト、ダチョウなどの卵」で鮮やかな絵を描くエッグアートです。卵絵は、清の時代の江蘇、湖南、北京の各地で流行しました。
中国清朝の嘉慶、道光年間の蘇州では、「蛍の灯」を作る風習がありました。それは、鴨卵の殻を五色の紙で飾り付け魚などの絵を描き、中身を取り出しで殻に穴をあけ、中に蛍を入れて作られたもので、夜になると蛍がちらちらと光りきれいになります。
20世紀に入り40年代以降になると、卵絵は蘇州で盛んになり代表的な民芸品になりました。
1950年、蘇州の職人である周公度は、伝統な卵絵に基づいて鮮やかな色で鴨卵の殻に虎丘(2500年以上の歴史ある江蘇省蘇州の名勝)などの名勝を描きました。また、虎丘寺の僧でもある果岩も、卵絵を制作したことから卵絵の芸術性を向上させることになりました。
その後、卵絵はさらに発展し50を超える種類に至り、海外にも伝わっていきます。
1973年、周公度は鮮やかな絵を描く上に、卵殻の図柄にあわせて彫って行く卵絵を作り出しました。これがその後の卵絵の芸術性を向上させていきました。
製造のプロセス
① 卵の横側か一端に小さい孔をあけます。
② 卵の中身を取り出します。
③ 卵殻に絵を描いたり、図柄を透かし彫ったりします。
④ できたものは、シルクを貼った紙の板かマホガニーで作った台に貼り付け、グラスカバーをかぶせます。
種類
卵絵には、横置きや縦置き、一つ置きやダブル置きなどの種類があります。
また、提灯や金魚のような形状で下に房状の装飾を飾るものや、違うサイズと種類の卵殻を使ってタワーのように積み上げる形状のものなど様々です。
『梁山泊の108人』(中国の古典小説『水滸伝』の登場人物で、明朝の初期、梁山泊に集う108人のアウトローたちを描いた作品)は、何十個の卵殻を使ってタワーのように積み上げる作品で、108人のさまざまな姿を生き生きと描き出して大人気を博しました。