オープンは1933年で、中国で最も早い時期に開設された博物館のひとつです。現在中国には数え切れないほどの博物館があるが、「博物院」と名付けられているのは、北京の「故宮博物院」とここだけで、格の高さをうかがい知ることができます。特に書画の収蔵に関してはすばらしいです。
江蘇省あたりでは明、清時代に絹織物や塩の専売で大変な繁栄を築き、大パトロンの元に才能ある書画の作家が雲集をしたという経緯もあり、沈周、文徴明、唐寅、仇英、金陵八家、揚州八怪などの貴重な作品を多く揃えています。
また、もう一つ南京博物院が異彩を放っているのは、いわゆる「南遷文物」といわれるものの存在です。1933年、日中戦争の戦火を避けるために、北京の故宮から大量の貴重な収蔵品が南京博物館(当時は中央博物院)に運ばれてきた。その数、木箱で2万個と言われています。やがて、南京にも戦火は及び、文物は再び移送されることになりました。多くは、四川省・重慶に運ばれました。戦争が終わり、文物はほぼ完全な形で南京に戻るが、その後の国共内戦の混乱の中で、三千箱が台北に運ばれ、七千箱が北京の故宮博物院に戻されました。
現在、台北の故宮博物院で展示されているのが、このときに運ばれたものです。残りの一万箱が南京博物院に残されたと言われており、これを「南遷文物」と言います。
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