鄭州の食文化の歴史は長く、その種類も豊富です。鄭州の食は「豫菜」と呼ばれる郷土料理を主としておりスープのものが多くあります。鄭州人は粉もの主食とするので鄭州の街の通りにはさまざまな粉もの料理の店があります。特に老舗である「合記」と「蔡記」には毎日大勢の人が食べに来ていてとても賑わっています。粉ものの種類も豊富で、蒸したナツメ饅頭と焼きパン、馓子(「サイズ」と呼ばれる、こねて細長くした小麦粉を、ねじり合わせて油で揚げたもの)、具の詰まった餃子や肉饅、ラーメンや冷たい麺などさまざまなものがあり迷ってしまいます。もちろん鄭州に来たからといって河南省の郷土料理を食べるだけではなく、中国全土の各地の特色ある料理も食べることができます。なべ、焼き肉、四川料理、広東料理等もあるので現地の料理が合わない方でも口に合ったものが探せるでしょう。
羊肉烩面
「羊肉のとろみ汁麺」は肉や野菜などに汁、麺が混ざった伝統的な食べ物です。栄養が豊富で、おいしくて安いため現地の人々にとても人気があります。上等な羊の肉を選び、何度も湯通し血なまぐささを取ります。そして調味料を加え煮ます。麺は精製した小麦粉に塩、ソーダを少し入れ何度もこねてコシのあるものにします。こねたものを帯状に伸ばし、羊肉と一緒に肉汁がある鍋に入れます。最後にヤブカンゾウ、キクラゲ、コンブ、クコ、春雨などで盛りつけます。シャンツァイ、トウガラシ、甘く味付けたにんにくなどをトッピングしても美味しいです。
鄭州ではこの「羊肉のとろみ汁麺」は万人に好まれる名物料理で、他の地域からも多くの人が食べにやってきます。1994年5月には「全国清真有名特色食品」という称号を与えられ、1997年12月には「中国の有名な軽食」の栄冠を勝ち取りました。鄭州には「羊肉のとろみ麺」を食べられる店がたくさんあります。市内各所にあり、そのため、鄭州は「とろみ麺の街」とも呼ばれています。
胡辣湯
胡辣湯は長い歴史を持っています。三国時代、曹操は隊列を率いて官渡で袁紹と対峙しました。曹軍の食糧は少なく、どうしようもない状況だったので調理人はサツマイモの実の部分と葉に糸のように細かく切った馬肉を加え炒め煮しとろみをつけ、長ネギ、トウガラシ、胡椒などの調味料や野菜を加えた料理を作りました。兵士たちの夜間の空腹を満たすために作られましたが意外においしく、腹もちもよかったそうです。曹操もこのピリ辛で腹もちのよいスープを食べ、大絶賛し「糊辣汤」と名付けました。
胡辣湯の主な材料は羊の脂身、小麦粉、油面筋(団子の形で、一種の面類)などです。加えるトッピングにはにんにく、長ネギ、生姜、山椒、胡椒、ウイキョウ、八角、ピーナッツ、エノキタケなど20種類の調味料と野菜です。色はカレーのような褐色をしておりとても美味しいです。食べる前に胡麻油や黒酢を少し入れると香りが豊かになります。河南の人々は主に朝、胡辣湯を食べます。美味しく安い食べ物として河南の人々に好まれています。
「鯉三食」
「鯉三食」は鄭州の有名な料理で、郷土風情のある手軽に食べられる料理です。「鯉三食」は鯉の三種類の食べ方という意味です。半分は干して食べ、もう半分は甘酢あんかけで食べ、鯉の頭と尾の部分は大根と一緒にスープにしてたべます。最もおもしろいのは甘酢あんのスープに麺を入れて食べることです。作り方は、まず鯉の泥臭さを抜くため、鯉を買ってからきれいな水の中で2~3日泳がせます。「鯉三食」は正式な宴会の時だけではなく、朝食や夕食としても食べられています。
龍須菓
「龍須菓」は長い歴史をもつ鄭州のとても有名な軽食です。この菓子はひげのような形をしているので「龍須」と名付けられました。米、小麦粉、砂糖、油を主な材料として、それらに生姜、エビ、塩、ソーセージ、肉のそぼろ、卵のそぼろなどを混ぜ合わせて作ります。「龍須菓」は色取りが鮮やかで甘さのバランスも良く多くの人に好まれています。
琵琶酥
「琵琶クッキー」は焼いた皮だけの餡のはいっていないお菓子です。<材料は小麦粉、ラード、ゴマ油、砂糖、蜂蜜などです。「琵琶クッキー」は乳白色で甘い香りが食欲をそそります。口に入れるとすぐ溶けてしまい手がとまりません。「琵琶クッキー」の名前の由来は、清代の乾隆皇帝が宋代の「琵琶記」という劇を好み、そのため調理人が琵琶という楽器の形をまねてこの菓子を作り出したと言われています。
重陽花菓
「重陽花菓」の主な材料は精製した小麦粉、ラード、ナツメ餡、ピーナッツ、梅、干しぶどうなどです。白くて柔らかく、口に入れるととても甘く、色々な果物の風味がします。「重陽花菓」は明代の宮廷調理人が正徳皇帝のために作った献上品で、毎年秋の重陽節に小高い丘に登り菊酒を飲みながら食べられたと言われています。
大救駕
「大救駕」というお菓子には千年以上の歴史があります。宋代の開国皇帝である趙匡胤は寿州を攻撃するとき、過労で病気になってしまったため調理人たちは心を込めてこの菓子を作り献上しました。趙匡胤はこれを食べるとすぐ元気を取り戻しました。そのため「大救駕」と呼ばれるようになったと言われています。重さが50グラムほどで、表面が黄色い円形のネジのような形をしています。内側から外側まで幾層にもなっていて、金糸が巻いてあるようなので「千層菓」とも呼ばれています。主な材料は小麦粉、ゴマ油、砂糖などで、中身には氷砂糖、金柑の砂糖漬け、梅、キンモクセイの花、クルミなどが入っています。甘くて、さくさくと歯ざわりがよく、でも油っこくありません。1979年、大救駕は「河南省の最も優秀な菓子」と表彰されました。1990年中国商業部門に「良質な食品金メダル」という賞も授与されました。
景家麻花
「景家麻花」は鄭州市の特色ある食べ物です。小麦粉に砂糖と塩を入れてこね、縄状によりあわせ、かりんとうのように油で揚げます。甘いものとしょっぱいものの二種類があります。甘くて歯ごたえもいいです。二ヶ月ほど置いても湿気ません。黄金のような色つやをしています。作り方は景家代々伝わるもので300年もの歴史を持っています。