天壇公園の建物
天壇の主な建物は、敷地の20分の1を占め、バランスよく立ち並んでいる。象徴的な意味をもつ建築物を組み合わせ、古代人の「天」への理解を表している。たとえば、「天圓地方」「天は陽をなし、地は陰をなす」「天人合一」「天地感応」などの観念である。中国は、伝統的な農業国だ。厳しい気候(大陸性モンスーン気候)の影響もあり、豊作祈願は重要な行事となった。中国には古くから、「民は食をもって天をなす」という言い方がある。そのため、天壇の中心的な建物を「祈年殿」と名づけたのである。「年」とは「稔」(実る)のことであり、豊年・豊作の意味である。
祈年殿は、金色の玉を持ち、軒先の連なる屋根が瑠璃瓦に覆われている。高さは、九丈九尺(古代の営造尺による。31・6八メートル)だ。それは「天圓」を意味するだけでなく、「天数」のきわみ(天数は「9」を最高とする)を意味するのである。
圜丘壇の円形の壇も、九重からなる石板が敷かれる。中央から扇状に広がる石板の数も「9」の倍数。それも「天に九重(宮城)あり」という言い伝えによっている。述した丹陛橋は、全長360メートル。南が低く、北が高い。天庭(天帝の宮廷)までの道が遠いので、一歩一歩登っていくことを示している。また、東門の手前には、「七星石」と呼ばれる7つの石が配されている。天体の現象を表している。
天壇の建築は、古代中国人の豊かなイマジネーションと創造力を表している。建築と芸術、当時の学問の成果を調和させ、人類の知恵を示したのである。
天壇は市の南東部に位置し、古い北京の面影を残した公園である。早朝ともなると、トレーニングをする人たちでにぎわっている。その中では、園内にある6万本の木々だけが、にぎやかだった祭天当時の様子を思い起こしているのかもしれない。




