著者:
Qiuyun He
2018/08/01
中国華東地方に位置する安徽省は、淮河、長江、新安江の流域上に広がっています。東部を江蘇省と浙江省、西部を湖北省と河南省、南部を江西省、北部を山東省と、6つの省に囲まれており、海には面していません。中国語で「光輝」を意味する「皖(ワン)」という別称でも呼ばれます。2000年を超える長い歴史をもつ合肥市が省都です。
安徽省の地形は多様で、省中部の巣湖の南北に長江と淮河が流れます。西部には大別山脈、南西部には天目山脈が連なり、北部には江淮平原が広がります。それぞれの地で見事な風景を楽しむことができますが、中でも黄山と九華山が安徽省きっての景勝地となっています。
歴史と文化
安徽省という省の名前は、安慶と徽州という2つの地名を組み合わせたもので、1667年に初めてそう呼ばれました。この豊かな地域は、2000年以上にも渡る輝かしい歴史と文化を誇ります。昔から学問が盛んで、多くの状元(官吏登用試験として毎年行われていた科挙の主席合格者)を生み出しました。また、春秋時代(紀元前722年~紀元前476年)の宰相管仲、三国時代(220~280年)の武将曹操と周瑜、明(1368~1644年)の初代皇帝朱元璋など、多くの歴史上の人物を輩出しています。
安徽省は、春秋時代(紀元前722年~紀元前476年)に生きた道教の創始者、老子と荘子の故郷です。黄山を訪れれば、道教というものをよく知ることができるでしょう。後漢の時代(25年~220年)の末頃には、曹操とその2人の息子、曹丕と曹植(3人あわせて「三曹」と呼ばれます)が、中国の詩文学の発展に強い影響を与えた建安文学を庇護しました。
安徽省の民俗劇には長い歴史があり、様々な形で演じられています。黄梅戯(黄梅調)は、安徽省に起源をもつ民俗劇で、中国で最も人気のある演劇の1つです。衣装、筋書き、音楽、役者の節回し、全てが黄梅戯の見どころです。
また、安徽省で見られる建築様式は、建築上の1つのジャンルを形成しています。その特徴は、黒い瓦、白い壁、大広間の前に広がる中庭などで、風水にも気を配り、彫刻を用いた装飾が施されています。こういった建築様式は、歙県の棠樾牌坊群や西逓村の古民居、黄山市の屯渓老街といった、民居、寺院、牌坊、庭園などに主に見られます。
見所
安徽省は中国で観光資源の最も豊かな省の一つで、国家クラス、省クラスのさまざまな観光スポットが290数カ所もある。その中には国家クラス重点景勝地が5カ所、歴史文化都市が3つ、国家クラス重要文化財保護指定を受けた景観地が9カ所、国家クラス自然保護区が3カ所、国家クラス森林公園が23カ所、含まれている。黄山、九華山を中心とする安徽省の皖南観光地区は、山水と人文の景観を兼ね備えたもの。黄山は珍しい松、奇岩怪石、雲の海、温泉で世に知られ、九華山は中国の四大仏教名山の一つである。斉雲山は長江以南の道教の聖地で、太平湖と新安江は、昔から「山水の画廊」といわれてきた。
長江と淮河の間には、歴史の中では数百年も前からよく知られている天柱山、宋代の著名な詩人‐欧陽修の文章で知られた琅郎山がある。采石礬、敬亭山、桃花潭、五松山、斉山と秋浦河など長江以南の山水は、唐代の詩人‐李白が晩年によく行ったところで、詩にまつわる遺跡がたくさんある。それ以外に、小孤山、浮山、巣湖などの景観はそれぞれ特色がある。歴史文化都市の歙県、亳州、寿県は、悠久な文化と古い名所の建築物と伝説によって世に知られている。
安徽省の基本情報
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中国語名:安徽
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ピンイン: ān Huī
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位置:中国東部
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省都: 合肥
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人口: 6700万人
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面積: 139,600 平方km